出発前日に、旅行社からFAXが入った。
出発の確認ご案内かと思ったら・・・
航空会社エールフランスの乗務員ストライキの為、12時30分発の予定便が欠航。
搭乗便が決まっていないので、10時30分集合を17時に遅らせるという。
先行しているツアー責任者からの連絡で、9日からのイエテボリ大学のセミナーは動かせないので、なんとしてもその日にイエテボリに着いていなければならないらしい。
しかも、予定のベテラン添乗員まで身内に不幸が出来たので、急遽、他の添乗員に交替するという。
新添乗員は、私と同姓だそうだが・・・
不安な気持ちで、車を成田に走らせる。
早く着きすぎたらしく、集合カウンターには、まだ人が居ない。
集合場所の確認はしたし、何時出発か分からないので、早めの夕食に日本食でも食べておこう。
しかし、トランクを預けられなかったので、移動がやっかいだ。
明日からのパン食に備えて、和食屋で、ミニ天丼と蕎麦のセットを注文する。
こだわりの店なのか、おろし金と本ワサビが付いている。
ご丁寧に、ワサビの残りを持ち帰るビニール袋までテーブルに置いてある。
今から帰宅するなら、持ち帰るのだが、イエテボリにワサビ持参で行ってどうする?
心残りだが、置いて行こう。
食べ終わって時計を見ると、集合時間30分前、そろそろ係員もカウンターに居るだろう。
集合カウンターに行くと、ツアーの参加者の姿は見えないが、すでに10個以上のトランクの列が出来ている。
係りの人に変更になった日程表を貰う。
搭乗便はアメリカン・エアライン?
げげげ!・・・乗換えのパリに行くのに、ニューヨークを回ることになった。
なんで、反対方向に飛ぶの?
旅立ちから、前途多難な感じ!
「17時15分にもう一度ここに集まってください。皆さん揃われたら一緒に説明いたします。」
係りの人が話す。
出発前から疲れを感じて、ロビーの椅子に座り込む。
ヒョロッと背の高い紺の背広のお兄さんが近づいてきて、話しかける。
「私、10年くらい添乗してますが、同姓の方とご一緒するのは初めてです。」
この人が今回の添乗員なんだ。
しばらく出身など喋ってから、向こうへ戻っていく。
そういえば、私も結婚以来、旦那の親戚以外で同姓の人に会った事はない。
娘の高校に1人だけいたが、それも名簿で見ただけで会ってはいない。
印鑑など100円ショップにもあるので、あまり考えなかったが、結婚23年目にして、旦那の姓ってわりと少ないんだと、改めて思った。
集合カウンターの見える椅子に座って、集まってくる人を見るとも無く眺めていると、ツアーアシスタントの二人がカウンターに来た。
4年ほど前に、このツアーに参加しているので、顔見知りになっている。
挨拶しておこうと、椅子から立ち上がる。
「ああ、佐竹さん。うちの熊本から参加の人が居るんだけど、初めてで不安がってるから、仲良くしてあげて。年代も同じだから・・・」
年長のアシスタントのU田さんが言う。
アシスタントの彼女、出発間際に腰を痛めてしまったそうで、かなり辛そうだ。
その為、面倒を見るつもりだったのが無理になり、私に声をかけてきたらしい。
参加者は、28名。ツアーアシスタント2名。添乗員1名。
女性ばかり30名+1名のツアーの出発だ。
アメリカン・エアライン搭乗。
乗換えも増えて、到着時間が予定の翌日15時過ぎになった。
おかげで、午前中に入っていた市内観光はカット!
ウェルカムパーティーまでに休める時間は1時間位だそうだ。
次の日は、9時から講義。体力勝負のセミナーになりそうだ。
パリへ行くのに、思いもよらない、太平洋を横断することになった。
しかも、大西洋も横断する!
本当に地球は丸い事を実感する!
さて、とりあえず眠ることにしよう。
ニューヨーク時間19時、ケネディー空港到着。
たしか、今日の19時に日本を出発したはずだが・・・・
外が、やけに明るい・・・・。
「本当に午後の7時なの?」
皆んなの顔が言っている。
しかし、空港の中を移動している間に、すっかり陽が落ちた。
とうとう、ニューヨークまで来てしまった。
絶対渡ることはないと思っていた大西洋を越えて、パリまで行く。
そこでやっと予定コースの飛行機に乗れる。
みんな疲労の色が濃い。
空港での乗換待ち時間、搭乗口近くの椅子に座っていると、エコノミー症候群対策に飲料の確保に行ったグループが手ぶらで戻ってくる。
添乗員は国際空港なので、円も使えると言っていたのだが、ドルしか使えないらしい。
アメリカに来るなんて思ってもいなかったのだから、皆んなドルなんて持ってない。
どこでも使える事が多いので、私もU田さんも、以前換えたドルを持っていた。
「ドルならあるよ。使う?」と言ったのだが、我慢するそうだ。
そうこうしている間に、搭乗時間になった。
パリ行きに搭乗する。
さあ、眠れるうちに寝ておこう。
明日もハードスケジュールが続くのだから・・・