平成14911()

 きょうは、片方のグループは、午後から市内の開業医見学になる。

朝食の時に、S戸さんが、開業医見学ならと服装を気にして、T先生にどちらのグループが、開業医見学になるか聞いている。

「そうねえ。きょうは、ウサギさんがお出かけにしましょ。」

「クマさんグループ」と「ウサギさんグループ」にされてしまった。
 さて、どちらがウサギさんかと言うと、もちろん、飛び跳ねてる方でしょう。
クマさんは、大学に居残りに決まったので、S戸さんは、ラフな服装のままで行くことにしたようだ。
たしかに、開業医見学となれば、患者さんの前に立つことになるから、服装も少しは気にしなくてはならない。

午前中の前半は歯周病科の歯科衛生士の講義で「患者への情報提供、口腔清掃用具」。

実際に歯周病科で、使用している歯ブラシや、歯間ブラシ、電動ブラシなどについて説明されたが、スェーデンでは、薬局が国営になっているので、そこに置ける物の検査は、とても厳しいそうだ。


コーヒーブレイクの時間にも、皆慣れてきて、ワイワイ、ガヤガヤ、適当にお茶を入れて飲みながら、雑談出来るようになった。

目の前に教授がいたりすると、つい質問をしたくなるもので、何人かが疑問点を聞いていると、間髪を入れずにT先生の注意が飛ぶ。

せっかく質問するのであれば、他にも同じ疑問を持っている人もあるかもしれないし、他の人たちにも、聞いて貰えるように、講義中にするようにと言うのである。

確かに、正論である。
教授に答えてもらうなら、全員が聞けるように配慮した方が、より勉強になっていく。

午前中の後半は、「歯周病患者のメインテナンス」E.W先生の講義。女医さんで、論文などはたくさん発表してらっしゃるそうだが、日本では、男の先生と思われている方が多いそうだ。

1つの症例を年を追って、そのメインテナンスと状態を説明してくださった。


昼:中華弁当。

今日は時間がないので、ロビーでお弁当を食べて着替えて、実習に入る。

 最初の時間は、歯周病科の歯科衛生士が患者さんを診ているところを2人一組で見学する。

S戸さんと私の組の通訳は、O教授。

彼女達は、一人ずつ個室の診療室を持っている。

そこに、自分が使いやすいように、スケーラーや器具を配置して仕事をしている。

 教授が通訳に付いてくれるなんて、とっても贅沢なのだが。。。

彼女が、何か言っているのを「きょうは、下顎3番から3番の歯石を取るそうです。」と、通訳して下さる。

歯科衛生士は、麻酔の注射を手に取ると、患者さんの口腔内に持っていく。

こちらの歯科衛生士は、自分で麻酔を打つ事が出来るのだ。

「スケーリングでも浸麻するんですね。」2人で顔を見合わせる。

「皆さんに見せてくれているのでしょう。」と、教授。

その為の勉強も大変だろうなっと思いながら、私達は覗き込むように彼女の手元を見ていた。

あらら?彼女の手はずっと奥を狙っている。

前歯を通り越して、左奥の臼後三角へって、それ伝麻でしょう?

下顎前歯のスケーリングに、何で伝麻なの?っと、また2人で顔を見合わせる。

O教授〜?」2人が丸い目で教授を見る。

歯科衛生士は、不思議そうに私達を見る。

「えっ、あれ?左下だったかな。」って、教授〜!

患者さんの了解を得て、写真に撮らせて貰いながら、見学を続けた。

 現在の歯周病科では、かなりの頻度で、超音波スケーラーが使われている。

4年前には無かった機械やチップが出て、縁下歯石にも使えるようになり、歯質を傷めないので、よりベストであるという。


 色々聞きながら、見学していると、がやがやとウサギさん達が4、5人診療室に入ってきた。

P.M.T.C.の実習が終わったらしく、出かける時間まで、こちらを見学しても良いと言われて、来たらしい。

がやがや、がやがや、患者さんを覗き込んだり、テーブルの上を見たり、押されて私達が後ろになってしまう。

しばし後ろで見ていたが、「ウサギさん達は明日見学出来るのよね。」っと、2人で話す。

「あなた達は、明日ちゃんと見学出来るのだから、今日は、後ろで見学してね。」っと、S戸さん。

さすが、歯科衛生士学校の教員経験がものを言うねえ。

ウサギさん達は、さっと、後ろに下がったのでした。


 ウサギさん達もクマさん達もコーヒーブレイク。

ひと休みしてから、ウサギさん達は、T先生に引率されて、郊外の歯科医院見学に出かけて行きました。

 クマさん達は、ファントム(マネキンの顎の模型)を使って、個別にスケーリングの練習。

1人1台ずつ、ユニットに患者さんがいるような感じに、ファントムをおいて、練習を始める。

使用するのは、昨日、自分でシャープニングしたスケーラーである。

もちろん、傍にシャープニングストーンも用意してある。

切れなくなれば、その場で自分で研がなければならない。

2時間、びっしりスケーリングを続けて、親指も薬指も痙攣しそうだ。

歯周病科の歯科衛生士が、各ユニットを通訳のアシスタントを連れて、回ってくる。

今日のクラスは、クマさん達なので、経験十分で何も言わなくても良いと笑って言う。


 きょうは、帰りの路面電車の中も、心持ち、静かな感じ。


 午後の実習で思い切り疲れた。

今日の私は、夕食を外に食べに行かない事にする。

部屋に入る時、お向いのO川さんが体調が悪いようなので、今夜はずっと部屋にいるので、何かあれば声をかけてくれるように伝えた。

休んでいたらしいのに、お節介だったかしら・・・

相方は、いつものグループで海老を食べに行く予定らしい。

私がスーパーマーケットから帰ってきた時にエレベーターホールで、すれ違った。

夜:トランクに眠っていたカップ麺を引っ張り出して、夕食にしよう。

2日間、部屋の鍵の調子が悪かったので、ホテルからお詫びにとガス入りミネラルウォーターとフルーツが届いていた。

食前に、りんごを一個、いただこう。


 K
田さんに借りた湯沸しでコップ3杯の湯を沸かして、カップ麺に注ぐ。

この湯沸し、かなり面白い。

熱源になる金属の棒をコップなどの器の中に差すように入れて、スイッチを入れる。

すると、金属の棒が熱くなり、周りの水を沸騰するまで温める。

沸騰すると、自動的に電源が切れるようになっている。

少量ずつしか、沸かせないのが欠点だが、コンパクトだ。


 電話が鳴った。

今頃、何だろう?添乗員のSさんだろうか?

K田ですけど、湯沸しを使っていなかったら取りに行って良いですか?」

おっと、今、沸かし終わったとこだぜ・・・

戻った頃には、カップ麺が丁度出来るだろうと思い、こちらから、届ける事にした。

日本から持ってきた「柿の種」をプラスして、有難くお返しした。


 おや?、1020分になるが、S戸さんが帰って来ない。

昨日、私が爆睡した時に、鼾でもうるさかったかな?

どこかの部屋に非難でもしちゃったかしら・・・

さあ、明日でイエテボリでのセミナーも最終日だ。

そろそろ、ベッドに横になろう。

と、思っていたら、廊下で声がして、S戸さんたちが帰ってきた。

蝦のレストランは、今日も満席だったらしい。

 話していると、ノックの音。

向かいの部屋のK村さんがミネラルウォーターのビンを開けるのに、栓抜きを借りに来た。

部屋のコップの傍にあるはずだが・・・

見つけられなかったらしい。

私が旅行記をポツポツと打っている、パソコンの画面を横から覗き込む。

「面白い。」っと、ご批評を頂いた。

どうも・・・ありがとう。