きょうは、片方のグループは、午後から市内の開業医見学になる。
朝食の時に、S戸さんが、開業医見学ならと服装を気にして、T先生にどちらのグループが、開業医見学になるか聞いている。
「そうねえ。きょうは、ウサギさんがお出かけにしましょ。」
「クマさんグループ」と「ウサギさんグループ」にされてしまった。
さて、どちらがウサギさんかと言うと、もちろん、飛び跳ねてる方でしょう。
クマさんは、大学に居残りに決まったので、S戸さんは、ラフな服装のままで行くことにしたようだ。
たしかに、開業医見学となれば、患者さんの前に立つことになるから、服装も少しは気にしなくてはならない。
午前中の前半は歯周病科の歯科衛生士の講義で「患者への情報提供、口腔清掃用具」。
実際に歯周病科で、使用している歯ブラシや、歯間ブラシ、電動ブラシなどについて説明されたが、スェーデンでは、薬局が国営になっているので、そこに置ける物の検査は、とても厳しいそうだ。
コーヒーブレイクの時間にも、皆慣れてきて、ワイワイ、ガヤガヤ、適当にお茶を入れて飲みながら、雑談出来るようになった。
目の前に教授がいたりすると、つい質問をしたくなるもので、何人かが疑問点を聞いていると、間髪を入れずにT先生の注意が飛ぶ。
せっかく質問するのであれば、他にも同じ疑問を持っている人もあるかもしれないし、他の人たちにも、聞いて貰えるように、講義中にするようにと言うのである。
確かに、正論である。
教授に答えてもらうなら、全員が聞けるように配慮した方が、より勉強になっていく。
午前中の後半は、「歯周病患者のメインテナンス」E.W先生の講義。女医さんで、論文などはたくさん発表してらっしゃるそうだが、日本では、男の先生と思われている方が多いそうだ。
1つの症例を年を追って、そのメインテナンスと状態を説明してくださった。
昼:中華弁当。
今日は時間がないので、ロビーでお弁当を食べて着替えて、実習に入る。
最初の時間は、歯周病科の歯科衛生士が患者さんを診ているところを2人一組で見学する。
S戸さんと私の組の通訳は、O教授。
彼女達は、一人ずつ個室の診療室を持っている。
そこに、自分が使いやすいように、スケーラーや器具を配置して仕事をしている。
教授が通訳に付いてくれるなんて、とっても贅沢なのだが。。。
彼女が、何か言っているのを「きょうは、下顎3番から3番の歯石を取るそうです。」と、通訳して下さる。
歯科衛生士は、麻酔の注射を手に取ると、患者さんの口腔内に持っていく。
こちらの歯科衛生士は、自分で麻酔を打つ事が出来るのだ。
「スケーリングでも浸麻するんですね。」2人で顔を見合わせる。
「皆さんに見せてくれているのでしょう。」と、教授。
その為の勉強も大変だろうなっと思いながら、私達は覗き込むように彼女の手元を見ていた。
あらら?彼女の手はずっと奥を狙っている。
前歯を通り越して、左奥の臼後三角へって、それ伝麻でしょう?
下顎前歯のスケーリングに、何で伝麻なの?っと、また2人で顔を見合わせる。
「O教授〜?」2人が丸い目で教授を見る。
歯科衛生士は、不思議そうに私達を見る。
「えっ、あれ?左下だったかな。」って、教授〜!
患者さんの了解を得て、写真に撮らせて貰いながら、見学を続けた。
現在の歯周病科では、かなりの頻度で、超音波スケーラーが使われている。
4年前には無かった機械やチップが出て、縁下歯石にも使えるようになり、歯質を傷めないので、よりベストであるという。
色々聞きながら、見学していると、がやがやとウサギさん達が4、5人診療室に入ってきた。
P.M.T.C.の実習が終わったらしく、出かける時間まで、こちらを見学しても良いと言われて、来たらしい。
がやがや、がやがや、患者さんを覗き込んだり、テーブルの上を見たり、押されて私達が後ろになってしまう。
しばし後ろで見ていたが、「ウサギさん達は明日見学出来るのよね。」っと、2人で話す。
「あなた達は、明日ちゃんと見学出来るのだから、今日は、後ろで見学してね。」っと、S戸さん。
さすが、歯科衛生士学校の教員経験がものを言うねえ。
ウサギさん達は、さっと、後ろに下がったのでした。
ウサギさん達もクマさん達もコーヒーブレイク。
ひと休みしてから、ウサギさん達は、T先生に引率されて、郊外の歯科医院見学に出かけて行きました。
クマさん達は、ファントム(マネキンの顎の模型)を使って、個別にスケーリングの練習。
1人1台ずつ、ユニットに患者さんがいるような感じに、ファントムをおいて、練習を始める。
使用するのは、昨日、自分でシャープニングしたスケーラーである。
もちろん、傍にシャープニングストーンも用意してある。
切れなくなれば、その場で自分で研がなければならない。
2時間、びっしりスケーリングを続けて、親指も薬指も痙攣しそうだ。
歯周病科の歯科衛生士が、各ユニットを通訳のアシスタントを連れて、回ってくる。
今日のクラスは、クマさん達なので、経験十分で何も言わなくても良いと笑って言う。
きょうは、帰りの路面電車の中も、心持ち、静かな感じ。
午後の実習で思い切り疲れた。
今日の私は、夕食を外に食べに行かない事にする。
部屋に入る時、お向いのO川さんが体調が悪いようなので、今夜はずっと部屋にいるので、何かあれば声をかけてくれるように伝えた。
休んでいたらしいのに、お節介だったかしら・・・
相方は、いつものグループで海老を食べに行く予定らしい。
私がスーパーマーケットから帰ってきた時にエレベーターホールで、すれ違った。
夜:トランクに眠っていたカップ麺を引っ張り出して、夕食にしよう。
2日間、部屋の鍵の調子が悪かったので、ホテルからお詫びにとガス入りミネラルウォーターとフルーツが届いていた。
食前に、りんごを一個、いただこう。
K田さんに借りた湯沸しでコップ3杯の湯を沸かして、カップ麺に注ぐ。
この湯沸し、かなり面白い。
熱源になる金属の棒をコップなどの器の中に差すように入れて、スイッチを入れる。
すると、金属の棒が熱くなり、周りの水を沸騰するまで温める。
沸騰すると、自動的に電源が切れるようになっている。
少量ずつしか、沸かせないのが欠点だが、コンパクトだ。
電話が鳴った。
今頃、何だろう?添乗員のSさんだろうか?
「K田ですけど、湯沸しを使っていなかったら取りに行って良いですか?」
おっと、今、沸かし終わったとこだぜ・・・
戻った頃には、カップ麺が丁度出来るだろうと思い、こちらから、届ける事にした。
日本から持ってきた「柿の種」をプラスして、有難くお返しした。
おや?、10時20分になるが、S戸さんが帰って来ない。
昨日、私が爆睡した時に、鼾でもうるさかったかな?
どこかの部屋に非難でもしちゃったかしら・・・
さあ、明日でイエテボリでのセミナーも最終日だ。
そろそろ、ベッドに横になろう。
と、思っていたら、廊下で声がして、S戸さんたちが帰ってきた。
蝦のレストランは、今日も満席だったらしい。
話していると、ノックの音。
向かいの部屋のK村さんがミネラルウォーターのビンを開けるのに、栓抜きを借りに来た。
部屋のコップの傍にあるはずだが・・・
見つけられなかったらしい。
私が旅行記をポツポツと打っている、パソコンの画面を横から覗き込む。
「面白い。」っと、ご批評を頂いた。
どうも・・・ありがとう。